ASUS CUSI-M

Jan. 14, 2003


先日,最近の小ネタ集に ジャンクの AsusCUSI-Mを買ったと書いた. このマザーには SiS 630E というチップセットが使われている. SiS 630Eは統合チップセットがお家芸のSiSが ローエンドPC向けに開発した究極の統合チップセットである. なにしろ,本来はサウスブリッジが分担しているディスクI/Oばかりでなく,Video,サウンド,LANまでが 1チップに収まっているのだ. つまり,このチップを積んだマザーなら何ら拡張カードを要さずにマシンが出来上がってしまう. それでいて,チップ自体の大きさは通常のチップと変わらない.

さて,CUSI-Mの動作検証であるが,結論から言うと何の問題も無く起動した. PPGA Celeron 366MHzと128MBのSDRAMを差してFDDからの起動まで確認した. すべての機能の動作を確認するには何らかのOSをインストールしてみる必要があるが, とりあえず真性ジャンクではなさそうだ.

Socket370のジャンクマザーを買って一喜一憂している筆者は最近のCPU事情をよく知らない. このところはPC関連の雑誌も全く買わなくなってしまった. 記事に全く興味をそそられないのである. いまやCPUは十分すぎるほど高速になり通常の用途ではその性能の10分の1も使っていないのに, ベンチマークで優劣をつけようとする. ビデオチップにしてもそうである. 今ではどこのビデオカードを選んでも文書作成やWeb閲覧に不満が残ることはないだろう. チップセット内蔵のビデオ機能も,一昔前の3Dカードよりも高速である. 昔は各チップの性能差が明らかであり, また,同じチップを使ったカードでもベンダーが提供するドライバの出来,不出来によって 描画性能が異なっていて面白かった.

おそらくライター諸氏の中には「ここまでの高機能は必要ない」と感じながら記事を書いている人もいるのではあるまいか. ベンチマークの批評も今一つ歯切れが悪い. 最新CPUのベンチマーク記事の結論は,だいたい「ヘビーゲーマーには歓迎されるだろう」とか 「3Dレンダリングを頻繁にやる向きは導入する価値があるだろう」とかで締めくくられている. そういう人がPCユーザのうちのどのくらいを占めるのか定かではない.

かなり前だが,自宅マシンにDVD-ROMドライブの導入を検討していたとき,当時の自宅マシンのスペック (Celeron 300@450+Banshee)でDVDの再生が可能かをあるショップの店員に尋ねたところ, 「Celeron 533MHz+TNT2で何とか再生できているのを見たことがあります.」という返答だった. 店員の話を信じるなら筆者の自宅マシンは全く話にならないところだが,ドライブを買って帰りDVDを再生してみたところ, 多少のコマ落ちはあるもののとりあえず鑑賞には堪えられるレベルで再生できている. 如何にその店員が雑誌等で植え付けられた先入観で物を見ていたかである. 筆者の自宅PCはその後C3 733MHzに換装し,ATAも100となりDVDが全くストレスなく再生できている. ビデオは相変わらずBansheeであり,DVD再生支援機能は無い.

指先に乗るほどの大きさのCPUが100W近い電力を消費する. CPUには力学的な運動要素が無いため,消費電力はすべて熱に変わると考えてよい. このようなCPUの命は冷却ファンが握っている. 何かの拍子に冷却ファンが止まってしまうと,途端にCPUはお亡くなりになってしまう. Pentiumの時代にはヒートシンクのオマケだったファンが生命線になってしまったのである. ファンに命を握られているCPUをサーバーに使うのは何とも心許ない. ラックマウント型サーバーには800MHzあたりのSocket370 Celeronが良く使われているが, このあたりのCPUで発熱リスクと1ユニットあたりの性能とがバランスするのだろう.

確かにCPUが大飯食らいになるにつれて冷却ファンやヒートシンクも高性能になってきて, 如何にも冷えそうな超大型クーラーも見かける. しかしながら,放熱フィンの長さには材質中の熱伝導率と冷却空気への熱伝達係数から 決まる最適値があることを忘れてはならない. それを超えた部分はフィン材質中の熱伝導が抵抗となって熱が伝わりにくく,放熱にはほとんど意味をなさないのである.

ちょっと前に,いくつかの雑誌で筆者の一押しであるVIA C3を使ったファンレスマシンの特集が組まれていた. 低クロックのC3ならファンレスマシンも可能だという. また,電源に外付けACアダプタを使うケースも あるらしく,これとC3を組み合わせればファンが一切使われていないマシンが出来上がる. こんなマシンの特集を雑誌でしょっちゅうやってくれれば購買意欲も湧くのであるが...

先日,C3の1GHzが遅ればせながら発売された. CPUに関して判官びいきの筆者は 喜ばしい限りだが,ここ の情報を見る限りC3の 取扱店も減ってきており,このまま絶滅してコレクターズアイテムになってしまうのではないかと危惧している. ワシントン条約ではないが,絶滅が危惧されるCPU種を保護する法律でもあればいいのだが.

そういえば,超古いパーツの再利用に関する記事もあまり見ない. おそらく,古いパーツのことを書くと新品パーツを売りたいメーカーからクレームが付くのだろう. 一線を退いたマシンを復活させるような記事を読んでみると,そのマシンはウチの研究室では 最高スペックだったりして拍子抜けする. そんな記事で取り上げられている古いマシンは,せいぜい2年くらい前のスペックであることが多い. 筆者の周りではWindows95が快適に動いていたPentiumマシンの残骸を多数見かける. どこの研究室でも持て余しているようだ. 実験計測用やWebサーバとして第二の人生を謳歌しているマシンはほんのわずかで, ほとんどが部屋の隅に追いやられ処分が可能になるまでただひたすら待っているだけである(筆者の大学では, 備品として購入したコンピュータは,購入後5年以内は廃棄できない規則になっている).

周知の通り,世の中は大量生産・大量消費から環境保全やリサイクル推進へと移っている. 家電製品や自動車の新製品はどれを取ってみても省エネルギーを売り文句にしている. にもかかわらず,なぜ,最新テクノロジーの粋を集めたはずのコンピュータだけが時代の流れと逆行しているのか不思議である. 特に日本市場では最高スペックのハードウエアが好まれるという. 省エネルギー技術や炭酸ガス排出削減技術で世界をリードしている日本でである.


お問い合わせはメールにて: akasaka@klc.ac.jp

戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送