古いマシンの活用法

Jan. 16, 2003


PCの世代交代は幾何級数的に早まっている. 周りには来期の構想から外れ戦力外通告を受けたマシンで溢れている. 特に,学内LANが整備された96年頃に大量導入されたマシン, つまりスペック的にはPentium 90〜133MHzにメモリが32MB,HDDが1GB程度のマシンは Windows98/Meが一般化した2000年あたりで現役引退を余儀なくされ, その後研究室の隅で埃を被っているのではあるまいか. アプライドなどで叩き売られているジャンクマシンもこの程度のスペックのものが多い. 2GHz超のCPUが横行し,OSも相当のマシンパワーを要求するようになったこの頃では, 素Pentiumを搭載したマシンを通常業務で使っていくのは厳しいだろう.

ここに書いたように,雑誌で見かける 旧マシンの活用法はだいたい2年くらい前に最高スペックだったマシンを対象としており, あまり参考にならない. ここでは,筆者の主観と経験に基づいて486,Socket7,Slot1あたりの旧マシンを活用する方法を紹介する.

1. PC-UNIXをインストールしてみる(対象:486,Socket7)

LinuxなどのPC-UNIXはWindowsに比べて必要とするハードウエアの敷居が低い. したがって,PC-UNIXなら現役引退したマシンでもそれなりに快適に動作してくれる. UNIX系OSの勉強をしたいのなら, 皆で共用しているUNIXサーバの設定をいじってみるわけにはいかないので, 古いマシンにLinuxをインストールして遊ぶのがベストだ. ただし,最新のド派手なGNOMEやKDEをある程度軽快に動かすためには,Celeron 300A以降のCPUと AGP 4Xモードに対応したビデオカードは必須だろう.

486や初期のSocket7のマシンはすでに歴史的遺産になりつつあるが, PC-UNIXをインストールしてサーバやルータにするならギリギリ正味期限内である.

メモリは32MBで十分だが, WebサーバやメールサーバにするならHDDは2GBはあった方がいい. もしマザーがE-IDEに対応していないなら中古のSCSI HDDを使う手もある. SCSIカードはFastで十分だが,AdaptecやSymbiosあたりのコントローラでないとインストール時に苦労する. ビデオカードはとりあえずVGAが映るものなら何でもよい. 筆者の経験では,インストール後はだいたいリモートで操作するので専用ディスプレイは必要ない. インストール時には必ず"カスタム"を選んで,カーネルモジュールとコンパイラ, 各種のユーティリティだけインストールし,後は用途に応じたサーバデーモンを追加する. 間違ってもインストール時に"サーバー"を選んではいけない.

このページが載っているサーバはK5-133(Pentium 133MHz相当),メモリ32MB,HDDは1GBが2個, ビデオカードはISAという出で立ちであり, Redhat 6.2で運用している. WebサーバのほかNTPサーバやPOPサーバも兼ねている. 運用開始から2年半くらい経つが, 落ちたのは一度だけである(何故かHDDのケーブルが抜けかかっていた). この程度のスペックならクライアントが100人以下のメールサーバも可能だろう. なお,古いマシンにLinuxを入れる場合は軽いカーネル2.2系の方いいかも知れない.

このようなマシンをサーバとして運用する際に問題となるのは, 処理速度よりもトラブル時の代替部品であろう. そろそろSIMMメモリ,HDD,CMOSバックアップ用電池などが寿命を迎える時期に来ているが, これらの部品なら代替品がすぐ手に入る. しかし,ATタイプの電源や電源から直接電力を取るCPUファンなどの 代替品を新品で入手することはかなり難しくなっている.

2. Windows95をインストールしてみる(対象:486,Socket7)

ある程度古いマシンでもWin95なら快適に動く. 本来はWin98を動かすには無理があるのに,周囲がWin98だからという理由で強引にアップデートされた マシンをよく見かける. 仕事で使う範囲では98と95との機能上の差は無いに等しい.が,98は95よりもかなり重い. この際,思い切って95に戻してみてはどうだろうか.

95に戻した後は,プリンタを繋いでプリンタサーバにする, ディスクを共有してファイルサーバにする,などの用途が考えられる. Personal Web Serverを導入してWebサーバにすることも可能だ. サーバにするならば間違ってもOffice系アプリなどを入れてはいけない.ディスク容量のムダである. どうしてもOfficeを入れる必要があるならば, イルカ,FindFirst,アプリケーションバー,ヘルプ,文書テンプレートを除外してインストールする.

Windows95は発売から7年以上経過しているが, 風水変造などのテコ入れを施せば, 個人的にはまだまだ使えると感じている. ユーザインターフェイスは現行OSとほとんど同じで,現在売られていソフトウエアのほとんどが動作する上, TCP/IPスタックを標準で持っているためネットワークが簡単に使える. 快適動作のために必要なハードウエアスペックはWin98よりもはるかに低く, インストールに要するHDD容量も少ない. 無理にWin98にアップデートする必要はないのだ.

クライアントとして使い続けるなら,ビデオカードに当時の最高級品をあてがってやると体感速度がかなり向上する. Pentium系CPUが載ったメーカー製マシンの場合,だいたいGD5434やTrio64Vあたりに1〜2MB程度のVRAMが 使われているが,これだと1024*768のフルカラー表示ができない. 初代ミレニアムやVision968を積んだカード, それもVRAMが4MBのカードに換装してやると画面描画がかなり快適になる. Vision968なら中古市場だと1000円以下で入手可能だ.ミレはもう少し高い. もちろん,ドライバはOS標準のものではなく,メーカーサイトからダウンロードしたものを用いる.

なお,ファイルサーバにする場合,HDDはある程度容量があった方がよいが, 486マシンや素Pentiumマシンは間違いなく8GBの壁に引っかかる (それ以下のもある). このようなマシンに最近の大容量HDDを繋ぐにはATAカードを使うかEZ-DRIVEやDisk Managerなどの ユーティリティを使う.前者の方が簡単で自由度も高い.

3. NT3.51をインストールしてみる(対象:Socket7)

Windows NT3.51を使ったことがある人はどれほどいるだろうか. Win95と同時期に売られていたが,インターフェイスは悪名高かったWin3.1と同じでほとんど注目されなかった. ただし,間違いなくNT系OSの直系であり,完全32ビットのマルチユーザ・マルチタスクOSである.

共用のファイルサーバを立てたいが,NT4.0はちょっとキツい. かといってWin95/98ではユーザ管理やアクセス制限ができないので困る. という場合はNT3.51の導入を検討されてはいかがだろうか.

95やNT4.0で導入されたシェルAPIやコモンダイアログは使えない. が,その分シンプルでインストールに要するディスク容量も少ない. 500MBもあればインストールは可能だ. Win98の不安定さに飽き飽きしている向きは,(ライセンスさえあれば)NT3.51をインストールして 周囲の人を驚かせるのも面白いだろう. ただし,95以降のユーザインターフェイスに慣れていると使いづらく感じるのは仕方が無い. 逆に,Win3.1を見たことが無い若い世代にはあのインターフェイスが新鮮に映るかも知れない.

NT3.51用のIE5がマイクロソフトから正式配布されているので,ネットサーフィンの時に エラーが頻発して閉口することもなかろう. エクスプローラのような先進的なファイラーが欲しいなら, 筆者が長年愛用している卓駆を使えばよい. 卓駆はNT3.51にもきちんと対応している.

4. Windows2000をインストールしてみる(対象:Slot1)

Pentium Proや300MHz以下のPentium IIマシンもそろそろ天寿を終えようとしている. Win98あたりをこれらのマシンで使っておりそろそろリプレースを考えているあなたは, 一度騙されたと思ってWin2Kを導入してみることをお勧めする.

NT系OSは難しいと考えている向きも少なくないようだが,通常の使い勝手は9Xと全く変わらない. 完全32ビットOSの安定性,制約の無い描画ルーチン,強固なファイルシステム(NTFS), など仕事で使っていく上でのメリットは大きい. 特にコード開発を行う場合は,暴走したプログラムを簡単に止められるタスクマネージャに重宝している. Win9Xの場合はCtrl+Alt+DelでもOSごと落ちてしまう場合がある. USBのホットプラグで落ちやすいなどの悪評も聞くが,筆者自身は一度も経験していない.

Win2Kはカーネルモジュールのダイエットがかなり進んでいると見えて,場合によってはNT4.0より もむしろ軽快に感じる. 筆者は雑誌の付録だったWin2K RC2をMI-300GP(233MHz)にメモリ64MBのマシンに導入し使用期限が来るまで 使ってみた経験があるが,それなりに快適だった. Plug & Playに対応しているためインストールやハードウエア増設も簡単だ. ただし,メニューのフェードインやタイトルバーのグラデーションなど 仕事に必要ないオプションも多いので,インストール完了後直ちに先の風水変造を施し,余計なサービス類は 停止させる.

風水変造を施し余計なプロセスを停止させたWin2Kは,仕事用としては最強のOSではないかと思っている. とにかく安定している. 注意して欲しいのはメモリだけは大量に搭載する必要があるということ. Win98なら64MBあれば何とかなるが,Win2Kの場合は最低128MB,できれば256MB欲しいところだ. Slot1系なら現在売られているSDRAMが使えるから問題無いが,もしSIMMしか使えない場合は 各研究室を回って余ったSIMMをかき集めてこよう.


お問い合わせはメールにて: akasaka@klc.ac.jp

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